ライター:セッキ―
2024.05.30
社会人生活をしていれば、誰にでも一度は「こんなはずじゃなかったのに…」と自分の意にそぐわない仕事を負わされたり、指示を受けることがあるでしょう。もしあなたが、経営コンサルタントとして夢を持って新卒で入社した職場を、わずか1年で配置換えをされたら…
あなたならどうしますか?すぐにでも会社を辞めるでしょうか?
京都にある経営コンサルティング会社、株式会社新経営サービスの管理部で活躍する長谷川さんは、現在時短勤務で毎日仕事に育児に家事にと奮闘する二児の母。
冒頭の話は長谷川さんの実体験です。彼女はそんな失意のどん底からどのように立ち直り、自分の居場所を見つけられたのでしょうか。どのように現在の仕事に前向きに取り組んでいるのでしょうか。また、コンサルタントに戻りたい気持ちは残っているでしょうか…?
なんでも頼みたくなるようなステキな笑顔が印象的な長谷川さんに、辛い過去から現在の仕事のこと、これからのこと、オンライン取材で伺ってきました!
――現在の管理部ではどのようなお仕事を担当していますか?
長谷川さん(以下、敬称略):備品の発注管理まわりのことから、受注管理、請求書作成、ブランディング推進チームでは広報的な業務、またWEBチームにも所属しておりまして、細かな更新や受発注、コンテンツの修正なども行います。ほかにも受注キャンペーンの運営事務局や忘年会の企画などいろいろなことを担当しています。
――いわゆる「ザ・総務」的なことから企画的なことまで、幅広いお仕事内容ですね。現状、貴社ではどのような働き方のスタイルをとっていますか?
長谷川:コンサルタント職は、フレックスタイム制で出社・在宅・顧客先と状況に応じて自由に選択しています。私たち管理部は、基本的には出社で、週一度の在宅ワークが可能で、メンバーで相談してシフトを決めています。個人的には、顔を合わせて仕事をするほうが捗ることが多いので、在宅ワークは集中したい作業や自分のリズムで業務を進めたい時に利用しています。
――長谷川さんは、コンサルタント職で新卒入社し、その後配置転換されたとのことでしたが。
長谷川:はい。2009年に、経営コンサルタントを希望して入社しました。2008年のリーマンショックのあおりを受け、コンサルティング業務は次々とキャンセルになり、先輩コンサルタントも自身の仕事だけで手いっぱいでとても新人を世話する状況ではありませんでした。コピー用紙一枚も無駄にはできないピリピリした雰囲気の中、毎日資料作りや研修準備などをやっていました。
そんな中、半年後には管理部に転籍することが決まりました。同期3名のうち私だけが経営とはかけ離れた学部出身ということもあり、まずは会社の構造を理解することが必要、という趣旨からの辞令でした。ちょうど産休に入ったスタッフの業務を引き継ぐ形で管理部の業務をスタートさせ、コンサルティング業務も並行したまま販売管理・請求業務に従事していました。
そして1年後の2010年4月には完全にコンサルタント業務を離れ、そのまま管理部員として現在まで15年勤務しています。
――入社してすぐに配置転換とは、悔しい想いをされましたね。
長谷川:はい。憧れがあって入社したのですごく悔しく、不甲斐ない気持ちになりました。活躍している同期の話などを聞けば落ち込みましたし、なんだかんだ1~2年はくすぶっていたと思います。
――どのように乗り越えたのでしょうか。
長谷川:“大人の本気”を感じさせてくれた上司の存在が大きかったです。「置かれた立場で一生懸命頑張ることが大事なんだよ」ということを、言葉でなくその姿勢で見せてくれた上司でした。配置換えは辛いことではありましたが、会社に貢献できる仕事のしかたがある、と背中で見せてくれた感じです。
うちの会社って、“大人の熱さ”がある会社というか、その頃の経験の浅い自分にとっては、大人が何かに本気で打ち込んでいるという姿がとてもかっこよく見えたんですね。仕事を一生懸命やったら、部署とか関係なく、認めてもらえたり引っ張ってもらえたりすることがあるのだな、ということに気づきました。それで、自分の力がちょっとでも役に立つ部署があるのなら、そこで頑張ってみようと。
――「背中を見せる」って言葉ではよく言いますけど、素晴らしい上司ですね。受け取るほうの長谷川さんの感度が高かったから伝わったのかもしれませんよね。管理部はあくまで社内に向けて仕事をされるわけですが、その姿勢を見て“熱さ”を感じるって素晴らしいです。ご自身の会社にそういう評価ができるってすごい。
長谷川ありがとうございます。そこから心を入れ替えて、というか。今目の前にある仕事を誠実にやっていくことが大事だと切り替えて今日までやってきました。
――今までで一番手ごたえを感じた業務はどんなことでしたか?
長谷川:実は…昨年のインボイス関連が大変すぎて、もう今までの苦労も全部吹っ飛んだ感じです(笑)。
――そんなに大変だったんですね(笑)。
長谷川:インボイス制度に対応できるシステムを導入するためのプロジェクトでしたが、なるべく今までのやり方を踏襲できるように要件を整えて、いろんな人の意見を聞いてまとめて…本当に大変でしたが、社内表彰で特別賞を受賞できたので達成感はありました!
やりがいがあることといえば、毎年、期首に行われる受注獲得キャンペーンの実行委員を担当していまして、その運営でしょうか。若手のコンサルタントを中心に企画を練り、管理部もパートさんも織り交ぜたチーム対抗戦をするんです。なかなか業績が上がらないときは、励ましの言葉をかけたり、お菓子配ったり。バレンタインの時期はチョコを用意したりもして、あの手この手で盛り上げます。
達成レベルによって賞金金額が変わるのと、打ち上げの会場のグレードも変わるのが面白いところです。
――仕事において大事にしている姿勢など、教えてください。
長谷川:これも先輩に言われた言葉ですが、「次工程はお客様」です。次の相手がお客様だと思っていつも丁寧に仕事をしましょうということです。
管理部は自分のところだけで完結する仕事ってあまりなくて、例えば、自分の仕上げた書類を次の人に渡すわけですが、それが社内の人間だからといって適当にしてはいけない。丁寧に真摯に取り組みなさい、という考えです。
初めは、単に「しっかり仕事せよ」というような意味くらいに思っていたんですが。自分の行程で心を込めて丁寧な仕事をすれば、次の人の仕事がスムーズに進み、最終的にお客様へのパフォーマンスが良くなる。また、そんなスタンスで取り組んでいるとそれは信頼となって自分にかえってくる、と。
――どんなときに“自分にかえってきた”と感じますか?
長谷川:それまでは1から10まで説明を受けていたのが2、3で済むようになるとか、阿吽の呼吸というか、「わかってくれるよね」という雰囲気が作られてくるんですよね。信頼の貯金がたまっていくような感覚です。
あとは、月並みですがいつも明るく、です!辛い時もあるけど、それでも一旦「はいっ」って言う、みたいな。
――大事なことですね!笑顔がすごくステキなんですけど、周りに言われたりしませんか?今や管理部に無くてはならない存在なのでは?
長谷川:実はつい先日、現会長(管理部に配置換えになった当時の専務)に「そろそろコンサルタントやらへんのか?」と言われたんです。単純にコンサルタントもやってみれば、という意味もあったと思いますが、それ以上に管理部でよくやってるな、と認めてくださったのかな、と思って、どちらにしても頑張りを見てもらっているようですごく嬉しかったです。
――それは…!嬉しいですね!
――ぶっちゃけコンサルタント職に転向したい気持ちはありますか?
長谷川:今すぐにでも、とかそこまで強く思うことはないですが、この先5年後10年後と考えたときには、この管理部・総務部門で培ったこと、いま取り組んでいることが、ほかの会社に当てはめたときにもし役に立つのなら、伝えていけたらいいなと思うことはあります。
――「戻る」ではなく前向きな新しいスタイルでのコンサルができそうですね。
――今後の目標ややってみたいことなどあればお願いします。
長谷川:「働き方」について最近よく考えます。
産休・育休を経て時短で働いていると、ちょっとしんどいなと思うこともあるんですけど、たまに夫に子供のお迎えを頼んで17時半まで仕事すると「いつもよりめっちゃ仕事できる!」「やりたいことが1日でできた!」とかって感動しちゃいますよね。
――すごくわかります。
長谷川:子育てや親の介護、個人の事情でフル在宅の社員もいて。私が入社した当時と比べると、今は女性コンサルタントも増えて、産休に入る人もいるし、30代でこれから結婚を考えるような子たちも多くて、会社全体を見回すと“働きやすさ”って何だろう?と考えさせられます。
どんな場所でもどんな状況でも働ける仕組み、
モチベーション高く、短い時間でも上手く仕事が回る仕組み、
とか、そういった“働きやすさ”を提案できるようになりたいと思っています。
――配置転換を経験し、管理部で実績を積んだ長谷川さんだからこそできる提案がありそうな気がします!
今日はありがとうございました!
◆編集後記◆
不本意にも配置替えとなっても、その場で踏ん張って目の前の仕事に真剣に取り組んで、自分の居場所を獲得することもできる、そんな長谷川さんのストーリーでした。同期がいる中で自分だけが配置換えになり、その辛さは相当なものだったと思います。
15年が経った今、まだコンサルタントに未練があるか、お会いする前からお聞きしようと思っていました。その答えは、ある、ない、という単純なものではなかった。
悔しい想いをしながら踏ん張り続けたその場所で確実に自分の中に積みあがった能力、実務経験、仕事への姿勢、そういったものを役立てて人に伝えたい。社内の困りごとを解決に導く彼女は、間違いなくコンサルタントです。相手が社内でも社外でも、今までの枠を超えて、長谷川さんにしかできないコンサルティングを展開して行って欲しいです。
プロフィール | 長谷川 礼子(はせがわ・れいこ)
2009年4月 新卒でコンサルタントとして入社、同年10月 管理部に転籍、コンサルティング業務と並行して販売管理・請求業務を担当。2010年4月 コンサルティング業務を離れ、販売管理・請求業務に加え、採用業務やWEB管理、営業キャンペーン企画運営等に従事。 二度の産休・育休取得後、2020年7月時短勤務にて復職。研修準備業務や業務効率化、DX推進、システム運用・定着等に取り組んでいる。 2023年度、社内表彰にてSKGミッション推進賞(チームワーク)(社員投票による)、KPI優秀賞(WEBプロジェクトチーム)、特別賞(インボイス制度対応・システム導入)の3賞を受賞。 株式会社新経営サービス 京都市下京区河原町五条西入本覚寺前町830 京都EHビル6F 事業内容:人事コンサルティング、人材・組織開発サービス、経営コンサルティング、各種経営セミナー・講師派遣 |
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ライタープロフィール
整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!
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整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!
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