ライター:セッキ―
2022.12.13
前号に引き続き、丸紅さんの新社屋を大冒険中の筆者です!
※前号はこちら!
皇居を臨む本社ビルの建て替えを終え、2021年5月に新社屋に移転しました。そして、第35回日経ニューオフィス賞、クリエイティブ・オフィス賞を受賞されています。
今号ではいよいよ執務フロアへ!さらに、大規模プロジェクトを終え、これからももっと新オフィスを知り、好きになってもらいたいというプロジェクトチームの想いや取り組みについても触れていきます♪
新社屋のオフィスコンセプト
コンセプトはずばり、“つながり”、成長を生むワークプレイス「Chain」です!
前号でも“つながり”を感じられる箇所がたくさんありましたよね。自社の歴史とのつながり、社外の方とのつながり、社員同士のつながり、、、
“つながり”を生み出す仕掛けとして構築された3つの「場」というのが、
「Round」、「Huddle」、「Circle」という3つのワークプレイス。
中央から外側に向かって配置されるこの設計が、9~20階までの執務フロアすべてにおいて統一されています。
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Round:五感を刺激し、新たな価値創造を促す場
植物や香りの演出、素材を感じられる家具を配置。誰がどの階を使ってもOK
Huddle:目的意識を持ち、集まり語らう場
アメフト用語で、試合中に行う作戦会議の意味。効率的な什器で多様なワークが可能
Circle:組織の一体感を醸成する、信頼構築の場
部署ごとにエリアが割り当てられたグループアドレス
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ただし!Roundだけは3つのデザインパターンで構築されていて、ユーザーはその時の業務内容や気分、体調によって好きな場所を選ぶことができます!それぞれ別のフロアに行かなければ味わえないので、フロア分断されないような仕掛け、いいですね!
Round
執務フロアの見どころは間違いなくこのRoundゾーンでしょう!!
3つのデザインパターンがあるので、それぞれ×4フロア=合計12フロアです。
デザインパターンはこの3つ★
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[1]Morning Fresh(朝)
[2]Magic Hour(夕方)
[3]Midnight Meditation(深夜)
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単純に朝昼晩、じゃないところがニクイです!
まず入口。
社員フロアのテーマは、成長の象徴である「木」で、執務室への入り口には木の枠が付けられていました!これだけでもちょっと雰囲気が和みますね。(※来客エリアは「水」でしたね)
まずはMorning Fresh、朝のフロアから参りましょう!
(撮影禁止エリアですのですべてご提供いただいた画像となります)
見るからにフレッシュ♪朝にぴったりですね!緑視率が高くて、全体のカラートーンもグレーやベージュといった落ち着いた雰囲気。
とってもいいにおいなのは、ユーカリベースの天然アロマ。そして、さりげなく小鳥のさえずりが…これは、丸紅ゆかりの地である滋賀県の森に行って実際に録音してきた音を流しているというのです。本気ですね、本気。やることが違いますよ、丸紅さん。
それだけじゃない!!
録音した時刻と流す時刻も合わせているんですって!なので夕方になるとカエルや虫の鳴き声も聴こえてくるそうで、時の流れがわかるというわけ。カエルが鳴くからか~えろっ、と。
次は筆者の大好きなMagic Hour!
赤やオレンジといった夕暮れ時をイメージする家具が多くなりました。これまた広々とした余裕のある空間です!
発想を呼び起こす、豊かにするという機能があるという、ペパーミントの香りが漂います。
また、あえて人工的なものを置くことで刺激を与えて想像力を誘発する狙いがあるそう。
またこのフロアのサウンドは、雑踏。皇居前や、仮移転していた日本橋の交差点で録音したものを流しているのだそう。雑踏、意外にいいかもですね♪
最後にMidnight Meditationです。
海外拠点が多い同社、お相手の国によっては真夜中であることもあります。お相手に合わせて「夜の場所を選びました!」なんて言ったら、強いつながりが生まれそうですよね♪
大きなテーブルが中央に置かれグレーのガラスで仕切られたここは、まるで異空間。静かに、集中できそうなムードですね。取材時は真昼でしたが、少し暗めの空間になっていました。ぜひ夜に来てみたいです~
ぐっと大人な雰囲気に赤いソファがスタイリッシュすぎます!
シダーウッドの香りは、集中力を高め、またリラックス効果もあるそう。
高低様々な生の植栽は社員の「成長」を感じられるようにとの想いから。中にはイミテーショングリーンも混じって演出されてました。またサウンドは、滋賀の湖東で流れる滝の音を録音してきたもので、「サーーーーー」という音がしていました。
ちなみに、Roundには各フロア必ずパントリーが設置されていて、偶発的な出会いによって社員同士の“つながり”を創出しています。
Huddle
機能的な作戦会議ができるよう、可動式の什器をフル活用し、効率よく作戦会議ができるようになっている。
業務に合わせてみなさん自由に組み換えをしてワークしています!いくつかまとめて作戦会議、あるいは分けて一人用ワークにもできちゃう。
各部署がどんなことをやっているか、お互いに知ってもらうために、飾り棚もありました。例えば営業部は商品サンプルを飾り、総務の棚では、今行われている活動に関係するグッズなどを。うさ&かめバッジもありましたよ!
Circle
シンプルな什器でまとまった執務席。その数は、全体の組織人数の7割にしています。グループごとのフリーアドレスになっていて、全席にモニターが設置されています。窓際にもさっと打合せできそうな場所がたくさんありますね。
ロッカーはこちらにずらりと。内部には電源タップが仕込まれていて、PCを充電して退社できます!便利。
1ON1もWEB会議もしやすい横並びの席の個室が!これは使えそう♪
このほかデュアルモニターのある集中ワークスペースや、フォンブースもありました。
【屋上庭園】
最後に屋上へ!ドラマなんかにも使われそうな広々とした屋上庭園でした。
ここにもうさぎとカメがいました♪かけっこを終えて、すっかり仲良しな感じですね^^
大規模オフィスならではの課題も
移転後からは、総務部プロジェクト推進室としてオフィスの運営管理に加え、本社のバックオフィスを担う部署と連携し、タスクフォース「Workreation(ワークリエイション)」を牽引されてきたお三方にお話を伺いました!
▼総務部 プロジェクト推進室 室長の中池さん(中央)、同じくプロジェクト推進室の大村さん(右)、山本さん(左)
――新社屋完成から1年以上経ちましたが、社員の皆さんの反応はいかがですか?
大村さん:「出社するだけで気分が上がる」とか「社員食堂での食事が楽しみ」などの声をもらえて、ありがたいことにオフィス満足度87%に(27%アップ)、平均出社率は約70%になっています。(2022年4月時点)
――皆さんどのように多様なワークスペースを使いこなしているんですか?
中池さん:私はベースは13階なのですが、Circleにとどまっていることはあまりないんです。紙派なので(笑)、紙を大きく広げられる場所が好きなのもあって、20階の朝のRoundとかによく行きます。
あとはマジックアワーの外に向いたソファも好きですね、さぼってるように見られちゃいますけど(笑)まだ使っていない他の階にも行きたいと思っています。
山本さん:総務部のグループアドレスがあるフロアのRoundがMidnight Meditationなのですが、香りが気に入ってよくソファー席にいます。あとは、Morning Freshのインテリアもさわやかで居心地がいいので気に入っています。ここぞという時には集中ブースにこもって作業をすることもあり、業務をする場所はその日によって本当にまちまちですね。
――はじめこのRoundのデザインを聞いたときはこの3パターンを集めたフロアが1つだけ存在するのかと思っていたんです。各フロアに違うデザインのRoundを置くなんて、いいアイディアですね!
大村さん:ありがとうございます。Circle以外のスペースは誰でもどこの階でも利用可能なのですが、まだ上下間移動は浸透していなくて。時期的に、コロナ感染の観点から「どうぞ自由に動いてください」とはなかなか言いづらい状況でのスタートだったことと、社員数も多いことから、部署ごとの壁というのもあるようで、自分のCircleの階以外に行くことに抵抗を感じてしまう社員もいるんですよね。
中池さん:縄張り意識みたいなものを壊していかなきゃいけないですよね。
大村さん:我々が率先していろんな場所に移動して、部署をこえたつながりを生み出していくのが今後の大きな課題と感じています。
――スタンプラリーとかどうですか?いつまでに何フロア達成せよ!みたいな^^
大村さん:なるほど、それいいかもしれませんね!
山本さん:やってみたいですね!
よりオフィスを知ってもらうための様々な取り組み
――オフィスの利用浸透のために、様々な取り組みをされていますね。
大村さん:移転前には、社内用ホームページで新社屋完成までの進捗共有をしたり、働き方浸透セミナーを開催したり。また、移転後に行った社員向けオフィスツアーは10回開催し、満足度100%でした^^
――素晴らしい!その中でも筆者が気になったのが「フォトコンテスト」です。
中池さん:フォトコンテストは移転後の早いタイミングで実施しました。新社屋をより深く知ってもらうため、まだ社員が見たことのない場所、シーンを自由に撮影してもらい、展示するだけでなく、社内外の方が投票できるようコンテスト形式にしたんです。結果、52作品の応募と400以上の投票がありました。
――参加型のとてもいい企画だと思います!
早速作品をご紹介させていただきますね!まずはグランプリを受賞された、ため息が出るような美しい写真です。
▼グランプリ「竹橋本社から見える白銀の皇居」
中池さん:雪の日の早朝ということで、この社員はかなり早く出社してきているのだろうな、会議の準備をする中でふと窓の外に目を向けたのだろうな、などと撮影者の姿までも想像させてもらえる作品だなと思います。
大村さん:投票の際のコメントで、「うちの会社の歴史がわかってよい」、「このオフィスでしか見えない景色なのがすごい」といったコメントももらえて嬉しかったです。
丸紅オフィスサポートというグループ会社の方々がロビーを清掃する姿を収めた写真もありました。自分たちのオフィスがこういった方々に支えられているのだ、という気づきにもなり、社員の目線を直に感じることもできました。
▼「みんなの新社屋をいつまでもピカピカに!!」
▼「館内1F 西側階段」
――グランプリの方は缶バッジがもらえるんでしょうか??笑
山本さん:受賞者にはビル内のテナントさんで使えるタリーズカードとnanacoカードをプレゼントしました!もっとオフィスに来て使ってもらえるように考えました。
――それはお店も嬉しいですね!本当に素敵な写真ばかりでした。ここまで大きな広いオフィスでは映えスポットもたくさんあるので今後もぜひフォトコンテスト続けて欲しいです!!
本日はありがとうございました!
取材を終えて
いかがでしたか?
ダイナミックなABWでしたね!これから、もっとたくさんの社員さんがフロア間移動をして、Roundのスペースが活用されて欲しいなあと思いました。
目にするものすべてに意味があり意図がある。最初から最後まで興奮しきりでした!働く社員さんたちにとっては、忙しく過ぎていく日々の中でも、常に自社の歴史、ルーツに触れることができるオフィス。新しく入社した社員さんにも早く浸透していくでしょうから、これは「早く会社になじめる」という効果も期待できるのではないでしょうか!
4,000名を超えるような大企業に属したことがない筆者は想像もつきませんが、エレベーターでは一度も会ったことがない社員に会うかもしれない。駅で自社の社員に会っても気づかないかもしれない。それが、出会ったみんなに挨拶が交わせるほどに交流が深まってつながったら素晴らしいことですよね。そんな未来の情景を想像しながら、帰路につきました。
Information | 丸紅本社 Workreation オフィス
前号【PART1】はこちら→丸紅:つながり・成長を生むワークプレイスはこだわり満載すぎだった!【PART1~来客スペース&食堂編】 *従業員数:4,379名 *所在地:東京都千代田区大手町1-4-2丸紅ビル *延床面積:80099.5m2 *執務用総席数:全体組織数の7割 *設計:大成建設(株)、(株)カッシーナ・イクスシー(ROUNDエリアを担当)、ノード・デザイン・コンサルタンツ(株)他 *施工:大成建設(株)、(株)カッシーナ・イクスシー(ROUNDエリアを担当)、コクヨ(株)、(株)コスモスモア他 |
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ライタープロフィール
整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!
ライタープロフィール
整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!
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