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気になるノウハウ!

ライター:一色先生

2022.10.17

教えて!一色先生:オフィスレイアウト・知っておきたい基礎知識

トッシーこと一色です。こんにちは。

あなたはオフィスレイアウトを考えるときにどんなことを意識していますか?

組織変更や、従業員増のときはオフィスレイアウトを変えることが必要になる場合がありますよね。
働きやすく、コミュニケーションとコンセントレーションのバランスのとれたオフィス環境は、オフィスレイアウトを工夫することで具現化できます。

今号ではオフィスレイアウトを変更するうえでの、知っておきたい基礎知識を紹介します。

オフィスレイアウトについて知っておくべきことは大きく次の5つです。

オフィスレイアウト・知っておきたい基礎知識
*********************
1. オフィスレイアウトとは
2. オフィスレイアウトの寸法
3. オフィスの基本計画
4. オフィスレイアウトの効果
5. 人の行動を変えるオフィスレイアウト
*********************


それでは、それぞれポイントを紹介していきます。

1. オフィスレイアウトとは

オフィスレイアウトとは、ワークステーションをはじめ、各機能スペースにその機能に対する設備・家具及び事務機器などをゾーニングされたスペースの中に配置することをいいます。

2. オフィスレイアウトの寸法

・レイアウトは働く人の作業効率、室内環境や安全性に影響し、デスク間の寸法に配慮する必要があります。
・机と机の間が通路を兼用する場合、十分な間隔が必要です。デスク間の通路寸法は1.8m程度必要です。1.8mあれば車イスのワーカーも支障なく通ることができます。
・車イスは利用者の操作性を含めると90㎝で設定しておきましょう。
・収納家具がある通路は、引き出しや扉の開閉寸法、人が収納物を検索する動作寸法を考慮し、スムーズに通行できるようにします。(図1)

・通路の寸法は、人が十分にすれ違いできること、また、バリアフリーの観点から車椅子の通過が楽にできることが望ましいです。
・両側に部屋が無い場合や片側に部屋がある場合の通路幅は1.2m以上必要。両側に部屋がある場合は1.6m以上が必要になります。

3.オフィスの基本計画

(1) オフィスづくりの目的を明確にする
オフィスレイアウトを変更するためには、まずオフィスづくりの目的を明確にすることが重要です。企業としてのありたい姿をイメージし、そのうえで現オフィスの問題点を把握します。

(2) コンセプトを設定し共有する
・どのような働き方ができるオフィスにするのか、オフィスコンセプトを設定し全員で共有します。

(3) ゾーニング
・必要なオフィス空間を用途や機能に応じたスペースに分けていきます。
・複数階にわたる場合は階層別の割付としてのスタッキングと1フロア内で割付けるブロッキングの2つがあります。
・ゾーニングは部門間の近接度、動線を考慮します。
・近接度はコミュニケーションの密度、部門間の近接の必要性の度合いをいいます。

4.オフィスレイアウトの効果
人の行動は環境によって影響を受けると言われています。レイアウトによって人の行動を誘導することができます。

オフィスレイアウトによる人の行動変化 ・集まりやすくなる

・出会いの接点を増やせる
・会話の機会を増やせる
・交流と集中の場所を選択できる
・人と人の接触機会を調整できる

5.人の行動を変えるオフィスレイアウト

今はどの企業も「社員の創造性をいかに高めて、新しい価値を生み出せるか」を目指したオフィスを追求しています。組織の創造性を高めるためには、多様な知をもった人と人とのコミュニケーションの活性化を欠かすことができません。
クリエイティビティを志向するオフィス空間(クリエイティブオフィス)は、コミュニケーション(交流)とコンセントレーション(集中)のバランスをどのように空間に反映させるかが課題となっています。このような行動を促すことのできるオフィスレイアウトのキーワードを紹介します。
(参考:教えて!一色先生:クリエイティブオフィスの共通項2~「実際の受賞オフィスに見られる共通項」

(1)ホット&クール

クリエイティブオフィスに共通しているゾーニングがあります。
それは、入口周辺はホット(人が集まりやすく交流しやすい)で入口から遠いところはクール(落ち着いて集中できる)になっているというものです。

執務スペースの入口周辺はいろんな人が集まるので、交流がスムーズに行われるように広場やハイテーブルで構成されています。街で例えると駅前が最も人が集まるので、広場の周りにカフェや、ショップが配置され、人と人の交流を促進される空間になっているのと同じです。駅から遠い郊外には静かな住宅地や別荘などがあり、ゆったりと落ち着いた空間になっています。

(下図は執務スペースをイメージしています。□は執務スペースで矢印は入口を表しています)
入口に近いにぎやかなところがホットなエリア、入口から遠く静かなところがクールなエリアとなっています。

(2)広場・回遊動線・交差点

クリエイティブオフィスはコミュニケーション接点をいかに増やすかという工夫が多くなされています。
昭和の時代のオフィスは自分の机に向かって黙々と事務処理を行うことが良しとされていました。

今は自分の所属する部署の人とだけ会話するのではなく、オフィスの中をふらふら歩いて、異なる部署の人々との会話が求められています。

★例えばこんなオフィス!→【気になるオフィス!】企業評価総合研究所:女性8割のオフィスで“世界一の働きやすさ”を追求!

そのようなコミュニケーション接点を増やすレイアウトの特徴は 広場と回遊動線と交差点です。オフィスの中の広場でコーヒーを飲みながら雑談ができるカフェスペースをつくる。散歩したくなるような回遊動線があると、歩くことでオフィス全体に視線を投げかけることができ視線があった人と会話の機会を持てます。

また通路と通路が交差する交差点に、小さなハイテーブルがあるだけで出会った人とちょっとした立ち話がやりやすくなります。 あのディズニーランドもパークの中を回遊したくなる広い通路、入口に近いところの広場などこのようなレイアウト上の工夫で構成されています。

(3)マグネットスペース

人と人の交流接点を増やす工夫としてマグネットスペースという取り組みがあります。
MITの経営学教授のトーマス・アレン氏の提唱する「30m理論」というものがあります。 

どのような理論かというと、組織内でのコミュニケーションは、人と人が物理的にどれだけ離れているかにかなり依存する。オフィス空間の中にコピーコーナーや、休憩スペースをつくったとしても30mを越えるとそこにはいかなくなるというものです。

どんな大きな空間でも、交流が促進されているコーナーは30m以内で設定されていました。(別の尺度でいうと20秒で移動できるぐらいの距離を越えるとあまり使われない場所になる、と言えそうです)

(4)変化対応

オフィスレイアウトの採用の仕方によって、変化にいかに対応できるかを考慮したオフィス環境を具体化できます。

①フリーアドレス

ノンテリトリアルオフィスに含まれる運用方式で、ノートPC、タブレット、スマートフォンを使用して、個人専用のデスクではなく、フロア内のテーブルと椅子が設置されているところを、自由に選んで仕事をするスタイル。

部門を超えたコミュニケーション活性化や、プロジェクトに応じたチーム編成がしやすいといったメリットがあります。デメリットとしては、一人で集中する作業がしにくい、個々の作業の進行状態が把握しにくい、同じ部門内のコミュニケーションがとりにくく、新人の育成がしづらいなどがあげられます。

②ユニバーサルプランオフィス

ユニバーサルとは「汎用な、普遍的な、万能な」という意味です。レイアウトやスペースのモジュールを標準化して設定し、それをオフィス全体にわたって適用するオフィスの運用方式です。基本的の組織変更があっても、レイアウト変更をしないで、人、書類の移動のみで対応するオフィスづくりです。

③ABW

ABWとはActivity Based Working(アクティビティ・ベースド・ワーキング)の略称で、働き手それぞれが「いつ・どこで・誰と働くか」を自由に決められる働き方のことで、元々オランダから始まったワークスタイルです。

場所を選べる働き方としてフリーアドレス という概念がありますが、フリーアドレスは自分の固定席を持たずに、オフィス内で仕事に応じて働きやすい席で働く運用方式です。 ABWはオフィスの内外を問わず働く時間を自由に選べるので、時間をかけてオフィスに行かずとも、自宅やカフェなどを働く場所にすることができます。テレワークなどより自由度が高くさまざまな効果が期待されることから広く採用されてきています。

本来、業務は職種と人によって適した就業環境が異なるため、働き手それぞれが働き方を自由に選べるようにすることで組織の能力を最大できるようになります。

以上、今回はオフィスレイアウトの基礎知識を紹介しました。

オフィスレイアウトは新しい備品購入など、大きな投資をしなくても、工夫次第で効果的なオフィス環境をつくりことが可能です。現状に満足することなく常によりよくするにはどうあればいいかを考えてもらえればと思います。

ここまで、読んでいただいてありがとうございました。

(今回紹介した内容は 「オフィスづくりの基礎知識-人・組織:オフィスをとりまく環境を整える」一般社団法人 日本オフィス家具協会(JOIFA)発行、を参考にしています)

一色先生

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ライタープロフィール

コクヨに42年間オフィスデザイナーとして勤務。オフィスデザインだけでなくオフィス研究やオフィス運営維持活動も担当。オフィスやカイゼンに関する講演は全国で50回以上実施している。2019年にはデザインスタジオを開業。オフィスのコンセプトづくりやコンペ提案のアドバイスを対応。
水彩画家として個展やカルチャースクールの絵画講師、公募展への応募なども行っている。2020年には初出品した水彩画が日展入選。はやくスケッチ旅行を再開したい。

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