ライター:セッキ―
2021.12.10
ポニーキャニオンさんから、
「オフィス改革したのでまた取材してください!」
と、ライター冥利に尽きる嬉しいご連絡をいただきましたので行ってきました!
ポニーキャニオンさんといえば、ちょうど2年前(2019年)に、21年慣れ親しんだ旧オフィスから移転し、社員さんの意識改革をしながら移転を成功させた企業様でしたが、、、
(→気になるオフィス!ポニーキャニオン:移転を機に生まれる、イノベーションと意識変革!)
さて、どんなオフィスになったのでしょう?
■移転から1年でオフィス改革を意思決定
「たった1年ほどでオフィス改革プロジェクトを指示されるとは思ってもみませんでした・・・(苦笑)」
そう話すのは移転PJを担当された総務部の部長です。新オフィスでやっと落ち着いてきたと実感していた頃の2020年、コロナ禍に突入。4~6月ですべてがストップ。出社も基本NGとなり、エンタメ業界の実情はニュースでたびたび報道されていましたが、同社においても各種リリースの延期や映画の公開延期、各種イベントがのきなみ中止になるなど、苦しい状態が続きました。
オフィスに全く誰もいない時期は、電源が通っているのにウォーターサーバーの水が悪化する、といった現象もあったのだそう。ショックですね・・・
この期間に社長が出社した際、閑散としたオフィスを見て「これはどうにかしなければ」とオフィス改革プロジェクトが動き出しました。
■ABWを導入し、オフィス改革を実行
全社に向けた説明会では、今回のオフィス改革プロジェクトの目的として5つのことが発表されました。
●新型コロナウイルスの感染拡大に伴う、従業員にとって安心・安全に働ける環境の構築
●出社率の低下に伴うオフィススペース効率化とコスト最適化
●グループ会社を本社オフィスへ集結し、グループシナジーを醸成
●在宅勤務/リモートワーク中心の働き方への変化に対応した環境の構築
●オフィス移転時のゴールである「コミュニケーションからイノベーション」の加速
▼
ABW(Acitivity Based Working)の導入へ
―オフィス改革前は、部署ごとにフロアが決められていて、長年にわたり【固定席】を採用されていましたよね。今回は当然ながらフリーアドレスの導入もセットです。 “固定席愛の強い社員”にどのように理解してもらえましたか?
人事総務本部 人事総務2部 部長
古宇田 隆之助氏 (以下、同)
「結構こだわりを強く持っていた社員は多かったですね。席に行けば自分の荷物がある安心感というか、自分の“城”的な感覚なのでしょうね。CD ,DVDやグッズを取り扱う部署が多いということもあり、自分の周りにモノが積まれてしまう状況もあったと思います。
何度も説明を重ねて、理解してもらうよう務めました。2年前の移転時には、一人につき段ボールを2箱まで、というルールでした。今回は1箱になったのですが、そのように段階を踏めたことも良かったのかもしれません」
―全社員フル出社文化からのテレワークへの移行だったわけですが、スムーズにいったのでしょうか?
「自然と定着していったという感じです。2019年の夏にテレワークデイズに参加した際に、テレワークでも業務が進む感覚を認識できていたことと、システム部の尽力のおかげもあり、ある程度の下地ができていたのだと思います。今では会議は基本オンラインです。」
―もうひとつの裏テーマはコスト面への配慮であり、極力既存のものを活用し、余計な物は買わない、という方針でしたね。
「安全に配慮し、密を避ける理由から、現レイアウトから席を抜いていく作業でした。それぞれの什器は、移転時に実際に見て触って、社員が“帰って来たくなるオフィス”をイメージして選んだものだったので、手離すのは非常に切なかったですが、新しいものだったので売却ができました。空間にゆとりもできてよかったと思います。」
■フロアごとの機能とフリーアドレスの導入にもひと工夫
コンセプトは、2019年の移転時と変わらず「コミュニケーションからのイノベーション」。
今回は部署横断となり、フロアごとにコンセプト(機能)をわけることを選択しました。
それでは4階から7階をご紹介していきます!
【4階】ロッカー&ラウンジフロア
ロッカーだけのために立ち寄るフロアになるとの予想を覆し、大人気のフロアに。
▼全社員分のロッカーが集結。偶然の遭遇がコミュニケーションを生むことも。
▼このルーバーの様なパーティションと窓からの緑で程よくリラックスしつつ、集中して業務できそう♪
「4階がテレカンNG、静かに仕事する場所、というルールを敷いていて、人が来ないと予想していたのですがすごい人気なんです。中央にロッカーを配置し、窓際に少しだけ一人用スペースが。窓からちょうど緑が見える高さなので、癒されると思います。
今までの固定席では窓に背を向けている人もいましたから、不公平感のないのがいいですよね。テレカンや食事をしている人が見受けられるので、ルールの見直しが必要かもしれません。」
ラウンジは、前回ご紹介時と変わらず。大人の落ち着いた雰囲気を醸してます、ここ。筆者好きなんですよね~
コロナ禍でバイキング方式をストップし、お弁当になりましたが、最近では完売しているそうですよ!
【5階】コラボレーションワークスペース
会話、電話、食事すべてOKのフロアです!
今回移転してきたグループ企業の皆さんもこちらのフロアに主に在席されているそう。
ソーシャルディスタンスを保った、スッキリと余裕のある空間です。カフェっぽい什器も多く揃い、リラックスした雰囲気ですね。
■6階カジュアルコミュニケーションワークスペース
これまでの什器を間引く形でリニュアルが行われたため、ゆとりあるスペースになっています。以前取材した際の印象とだいぶ違って見えたのが、テーブルを斜めに配置しているあたり。落ち着かないのかなと思いきや、しっくり来てます!
さてここで、フリーアドレスにならなかった人がいます。誰でしょう~~?
「“上長同士がきちんとコミュニケーションを取るように”するという目的で、本部長と副本部長の席を窓際に配置したんです。」
なるほど!バックオフィスやアシスタント席を固定席に、という企業は多いですが、上長が固定席とは面白い施策です!!
▼窓際に沿ってぐるりと配置された本部長席
▼以前は各階にあったコラボエリア、6階に集約されました
【7階】コンセントレーションワークスペース
さて7階まで来ると緑は見えなくなった代わりに、眺望がすばらしい!東京タワーも間近です♪ぜひ夜景も見てみたいものですね^^
“コンセントレーション”ですから、会話や飲食NGというルールを敷きました。古宇田さんの予想ではここに人気が集中するだろうと。それが、、、、
何と、ルールをすぐさま変更することに。
「最初の頃は全然利用されなかったんです。エンタメ企業という特性上、相手企業様との対話も多いですし、久々に出社すればやっぱりみんなと会話したくなる。会話も電話もダメ、というのは苦痛だったようですね。
2か月程度でその範囲を1/3に縮小、つまり2/3を会話&電話OK(食事NG)のコラボエリアに変更し、静かめの執務エリアという感じになりまして、今では人気のエリアになりました。」
▼中央に記帳台のようなスタンディングテーブル。ちょっと面白い什器ですね。
▼集中ブースということでもこちらもかなりの人気席だそう
▼ABWになったことで一人に一つ貸与されたお荷物バッグ。移動効率が全然違います。ありがたい♪
■新たな導入アイテム、制度
1)ビーコン(屋内位置情報サービス/Beacapp Here)
▼4階のロッカーエリア、中央の柱のモニターで各フロアの席の利用状況や、誰がどこにいるかがリアルタイムに一目でわかるようになっている(会社支給のスマホでも確認可能)
2)美化委員会
移転時のプロジェクトメンバーを軸に、各部署からの選抜メンバーで構成された委員会。社内からの意見やアイデア⇔人事総務からのメッセージをそれぞれ届ける役割で非常に助かっているとのこと。
ここから挙がった「新入社員や若手の教育がしにくい」の意見に対応し、新入社員エリアを期間限定で設置。入社後半年くらい過ごす場所として指定したのだそう。
3)景観を活かしてテント風什器を導入
▼コクヨ inGREENシリーズ
4)ワークポッド
もはやオフィスの必需品ですね!
―テレワークの普及によって、各社コミュニケーションに課題をお持ちの企業が多いですが、何か施策は?
「社員同士のコミュニケーションは、間違いなくフリーアドレス化によって活発になったと感じています。ただ、10月の全面的な(コロナ)規制解除を受けて、このワークスタイルを継続しながらも対面も重要であるとし、社長から下記発信がありました。
「3つの増やす」
●コミュニケーションを増やす
●対面を増やす
●インプットを増やす
対面の会議を増やしたり、積極的に1on1ミーティングを実施したり、また社員のデジタルリテラシーの向上を目的とした勉強会を9月よりスタートするなど、積極的に“増やす”ことに取り組んでいます。
全社的な施策としては各種勉強会の実施、一時はオンラインヨガを実施した時期もありました。
また、メンタル面のサポートとして、ストレスチェック、セルフケアマネジメント研修に加え、上長が部下との向き合い方を学ぶ管理職向けの研修を実施するなど、産業医のサポートを受けながらしっかり体制を整えています。」
▼左から古宇田氏、広報ご担当/長田氏、山下氏
―本日はありがとうございました!
* * * * *
今回フリーアドレス化に加え、ABWの概念も入ったことでより社員さんたちの働き方が柔軟になり、相互のコミュニケーションもかなり活発になっているようでした!
筆者がポニーキャニオンさんに感心する点は二つあります。
古宇田さんの「社員からの要望はなるべく断りたくない。もちろん内容の精査は必要ですが、僕が各方面と調整して済むことであればできる限りかなえてあげたい」、この姿勢です!!こんな総務部長だからこそ、言いたいことが言えて、希望がかなえられ、自身たちの働き方にも敏感になり、働きやすいオフィスが作られていくのですね!
もう一つは、「ダメだと思ったことはすぐ変える!」一度決めたルールに縛られない。変な意地やプライドではなく、常に改善していく柔軟な対応が、ポニーキャニオンさんの企業としての成長にもつながっている、と感じました!
また進化した時はぜひお声がけください!!
Information | 株式会社ポニーキャニオン https://company.ponycanyon.co.jp/
*従業員数:約450名 *規模:各フロア 240平米(3~8階利用) *設計:株式会社cdi *PM:ジョーンズラングラサール株式会社 *施工:住友不動産株式会社 |
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今回のオフィス改革スケジュール | ************************************************* 2019年5月 現オフィスへ移転 2019年8月 テレワークデイズに参加 2020年2月 コロナ禍により全社でテレワーク実施 2021年4月 全従業員に向けての説明会 5月中旬~ フロア毎に順次着工 6月下旬 完成 7~8月 美化委員ワークショップ、新たな家具等が搬入 9月 各所調整、ルール決め 10月 ビーコンの導入 ************************************************** |
ライタープロフィール
整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!
ライタープロフィール
整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!
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