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気になるオフィス!
他社のオフィスってなんか気になる!いろんなオフィスをご紹介します!

ライター:セッキ―

2021.02.26

ついにオフィス完全脱却へ。CINRA”フルリモート化”の舞台裏

昨年11月、筆者のもとに届いた1通のメール。

「CINRAはオフィスを持たないニューノーマルな働き方に移行します」

以前「気になるオフィス!」で取材させていただいた渋谷にオフィスをもつCINRAさんでした。ついに、オフィスを完全に手放すという舵を切った企業が現れたのか。早く話を聞きたい・・・見た瞬間、興奮が止まらなくなった筆者です。

株式会社CINRA。2020年11月にオフィスを持たないフルリモートでの働き方に移行されました。従業員数約80名。そもそも数年前から「フリー出社制度」を導入していたそうです。

でもでも、気になる!
在宅のリモート環境ってどう整備したの?
電話は?郵便物は?
登記の住所ってどうなるの?
総務の人はフルリモートでも大丈夫なのーーーーー?


たーーっぷり、伺ってきましたよ!

※渋谷オフィスがあった時のエントランス写真

発案のきっかけから決定までの流れ

2020年
2月 コロナ感染拡大をきっかけに全社員リモートワーク推奨に

もともと導入している「フリー出社制度」では総務部は対象外だが、この時は総務部もリモートに。
5月 この2か月ほどのリモートワークに関して、社員アンケート実施
「最高だった」「よかった」という好意的な意見が8割を占める結果に。
6月 2回目のアンケート実施
フルリモートになった場合の具体的な提案を、1回目の温度感も含めて全社にプレゼン。これも好感触の結果に。
11月 フルリモートでの業務開始
11月末 オフィス完全退去



さあではここからは、実際に今回のオフィス退去プロジェクトを担当された方に根ほり葉ほりお聞きしていきますよ!

        ◆ 総務部マネージャー/柏木様 ◆

―2月のリモート推奨期間は、総務部でも問題なくできましたか?

柏木)「捺印業務と郵便物関連以外、ほぼリモートでOKでした。もしトップダウンで毎日出社を、と言われていたらきついものがあったと思います。」

―フルリモート移行を決定した理由はどのようなことでしょう?

・コロナ収束までは時間がかかるだろうという見込み
・家賃コストはなるべくおさえたい
・社員の自宅のワーク環境をどこまで整える必要があるか(Wi-Fi環境を整えるべきかなど)、迷いがあるままで継続することはあまりいい状態ではなかった


柏木)「上記の理由に加え、社員アンケートの結果からも好意的な意見が多かったことから、完全にオフィスを手放すことが決定しました。」

―社員から大きな反対意見は出ませんでしたか?

柏木)「この時点ではネガティブな意見は多くなかったですね。私自身、コロナ渦で通勤しなくて良いことがいかに安全か、ということを日々実感していました。自宅のネットワーク環境に関しては、整備したいが立地の関係で電波が悪い、工事に時間がかかる、などの相談が多かったです。

そもそも弊社では『フリー出社制度』を導入しており、出社が必須ではないので自宅で作業している社員が多いこともあり、影響していたと思います。」

会社としての機能について教えて!

▼登記上の住所や、郵便物は?
柏木)「下北沢にあるコワーキングスペース内に、最低限の物を置くことができる個室を借りて本社機能として使っています。郵便物の授受や書類の保管などが目的になります。総務部がローテーションで1営業日おきに出向いています。」

▼電話は?
柏木)「いろいろあってどれにするか難航しました。これまでの状況としては営業電話が多かったので自動音声アナウンスに決めました。電話応対が多いことが総務部の悩みでもあったので、そこは改善されましたね。」

▼印刷は?
柏木)「総務部はどうしても必要になるのでプリンターを全員1台購入。それ以外の社員は下記2つの手法で対応しています。1が現在多く利用されています。」

1)通常印刷:コンビニプリント(印刷予約して近所のコンビニで印) 2)大量印刷:アクセアを利用(出力してまとめるところまで対応してくれるなどカスタマイズ可能)

※写真:同社コラムより

▼情報管理・セキュリティは?
柏木)「セキュリティガイドラインを見直し、一層厳格なものに改変しました。具体的には、全社員が自宅にシュレッダーを購入したほか、会社支給PCやスマートフォンなど各種デバイスのセキュリティ設定の徹底などです。また、契約書など重要機密書類はすべて個人保有せず、前述の本社機能を持つ場所に保管することになっています。」

▼ご挨拶の贈答品などは?
柏木)「手持ちされるお客様はもともとほとんどいらっしゃらなかったので問題ありません。郵送でジュースなど送っていただくことはあり、年に4回集まる場をもつ予定なのでそこで配布するなどを考えています。主観ですが、この半年はやはり郵便物自体が減った印象はあります。年賀状はほんとに減りましたね。」

▼顧客等への周知は?
柏木)「毎月配信しているメルマガの送信先に加え、お付き合いのある方々にメール配信でお知らせしました。もしコロナでなければ紙の挨拶状を送っていたかもしれませんね。社員も忙しい中でアドレスを集約してくれて、“全社ごと”としてとらえて動けたと思います。」

▼仕組みとしての手当は?
柏木)「フルリモート移行が決定して以降に支給したものが下記になります。この機会に引っ越して都心を離れる社員が多かったですね。一番遠くて、地元の沖縄に戻ったという社員がいます。」

*準備金:全社員を対象に9月に支給。自宅の環境整備が目的
*リモート手当:11月以降、毎月支給。使用内容はノータッチ。サードプレイスでのワーク費用、自宅の光熱費、業務環境を快適にするための構築費用などに。

「オフィス」という場所がなくなったいま、
会社と社員をつなぐ取り組みは

▼オンラインでのコミュニケーション施策

*チェックイン:毎朝チーム内で10分程度雑談する【WEB会議システム】
*かんかんラジオ:社員1名と人事担当が雑談を交えて、その社員について紹介する社内配信ラジオ
*CINRAアニバーサリー:週一の全社集会(オンライン)で入社〇周年の社員を発表。上司と本人からコメントをもらう
*Good&New:ZOOMブレークアウトルームで個別メンバーをランダムに選び、いいことや新しいことをおしゃべりする場

▼リアルの場でのコミュニケーション施策

*年に4回、全社員で集まる ※詳細検討中
*月一回、部署ごとでのオフ会(経費利用)
*CINRAメンバーズの会。部署横断では3か月に一度(経費利用)

柏木)「このほか、部活動制度というのもあり、各々で活動しています。私もいくつかの部活に所属しています。」

―現時点での課題が上がっていたら教えてください

柏木)「会えないことによるコミュニケーション不足、というのは悩みではあります。ただややこしいのが、コロナによる緊急事態宣言中でなければ、もうすこしオフラインで会うことができるはずなんですよね。社員から『リモートワークが厳しい』という相談を受けても、原因がリモートなのか、コロナ禍なのか、もしくは混在しているのか、よく見えない部分があります。

また、フルリモートが向いてなくて疲れてしまう、という社員も出てきています。私は体調管理担当でもあるので、『いつでも、何でも言ってください』という姿勢で、1on1で話を聞くようにしています。ケアのしかたはいろいろあるので、個別に考えて対応する必要があります。今後も気持ちの面で疲れてしまう人が間違いなく増えてくると思うので、相談しやすい仕組みを検討していくつもりです。」

今後オフィス脱却を検討する企業に向けて
成功の秘訣は

―フルリモート移行の最大のメリットはなんだと思いますか?

柏木)社員の健康状態を守れていることではないでしょうか。移動時間が減ったこと、満員電車に乗らずにすむこと。弊社はもともと自宅でのワークには慣れていることもあり、リモートに振ったせいで業務効率が極端に下がったということはないように思います。」

―ここまでで一番大変だったことはなんでしたか?

柏木)「難しいのは社内の仕組みづくりだと思いますが、作業的には物を捨てる、家具を捨てる、というのが大変でしたね。廃棄業者にも依頼しましたが、社員の協力は不可欠でした。まだ使えそうな家具を選別して一部は社員に譲ることもしました。

自分たちで購入した愛着のあるものを捨てる時は辛かったですし、本来なら使えるものを全て分配できれば一番よかったのですが、時間との勝負でもありました。」

―オフィスを引っ越しする最後の日は感慨深いものがあったのでは?

柏木)「総務部は粛々と作業してました(笑)。最終日の少し前で、任意参加で社員が集まり作業してもらった日がありましたが、写真撮影をしたりその後軽く食事に行ったりと感慨深い感じはあったと思います。我々バックオフィススタッフはそれどころじゃなかったですね。」

※写真:オフィス最終日に撮影された集合写真

―日頃からリモートワークに慣れているとはいえ、5月の検討段階から11月1日には移行開始。オフィス退去は11月末。すごいスピード感ですよね。これからオフィス脱却を考える企業も出てくると思います。成功の秘訣があったら教えてください。

柏木)「コツみたいなものがあるとすれば、全社的に協力する体制を作る、理解を深める努力をする。期限・スケジュールの見える化をするなどですね。例えば、書籍類はいつまでに廃棄してください、必要な書籍はスキャンしてここに格納します、といったように、依頼するだけでなくその後どうなるかもセットで伝えていくようにしました。

中心になったのは総務部4名+一部の部署でしたが、全社員で一丸となって協力して進行できたことがこの結果に結びついたと思います。総務部だけでは絶対に動かせないプロジェクトだと思います。」

―貴重なお話を、ありがとうございました!

***編集後記*** 

いかがでしたか。
今回初めて、オフィスを完全脱却するケースとして、貴重なお話をたくさんお聞きできました。オフィスの在り方を見直し中の皆様に参考になれば嬉しいです。

業種、従業員数、社員の年齢層、性格、社風、、、
それぞれの個性を持つ企業、さまざまな状況がありますので、「フルリモート化」はどこの企業でもできることではないというのは事実です。さらにはメリット・デメリットを感じる点も、企業によって違いがあることがよくわかりました。よく耳にするのが、テレワークにより孤独を感じることが増え”コロナ鬱”と呼ばれる精神不調。これが増加している現状がある中、CINRAさんは、通勤しないで済むことも含めた「社員の健康状態が保てる」ことが最大のメリットとお考えでした。これには筆者も驚きました。もちろん柏木さんのような体調管理担当の存在も大きいのだと思いますし、社員同士をつなぐ多くの施策を皆さんが積極的に取り組んでいらっしゃることも、フルリモート体制を支えているのだと感じました。

それにしてもやはり総務の皆さん、大変そうでしたね・・・^^;
現在はオフィスでのご苦労とはまた違った大変さもあるとは思いますが、変化を受け入れ、楽しみながら働く姿はとても勉強になります。今後またオフィスに戻る可能性も十分あると思いますので、その時もまた取材させていただきます!!

Infomation株式会社CINRA https://www.cinra.co.jp/

*従業員数:約80名
*同社記事ご紹介(Wantedly)
さよなら道玄坂オフィス。フルリモート化でCINRAが目指す「ニューノーマル」な働き方
キーワードは「集合知」。ウィズコロナ時代にCINRAがはじめたこと
突然の在宅勤務でお困りのバックオフィスの方へ。フルリモートに舵を切ったCINRAが導入したツール・サービス紹介
お話しを伺った方柏木ゆか

ウェブデザイナーとして2007年にCINRAに入社。その後、CINRA.NETのニュースデスク、社内の業務効率化部署の立ち上げに関わる。2019年から総務部のマネージャーを務める。
セッキ―

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ライタープロフィール

整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!

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整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!

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