ライター:セッキ―
2025.12.19
株式会社地圏環境テクノロジーは、主に統合型水循環シミュレーションシステム「GETFLOWS(ゲットフローズ)」の開発・販売および関連サービスを行っている会社です。
同社は、独自の解析技術を用いて「地上」と「地下」の水の動きを統合的にシミュレーションし、可視化することに長けています。この高度な技術は、洪水対策や水資源の保全といった多岐にわたる課題解決に活用されており、現在は多くの企業や自治体に対して、科学的根拠に基づいた高度なソリューションを提供しています。
こうした専門家集団をバックオフィスから支えるのが、総務部長の大塚馨(おおつか・かおる)さん。
かつては銀行員として17年、その後は大企業で10年、がむしゃらに駆け抜けてきました。しかし、心身ともに疲弊していた時期に「藁をもつかむ思い」で飛び込んだのが、未経験の総務職でした。
じっと座っていることさえ苦痛だった当初から、次第にその楽しさに目覚め、現在は変革期にある組織の要として部下の挑戦を後押ししています。
「上場を見届けたら、静かに去る」ーー。キャリアの集大成となる60代を前に、自身の居場所を見出したこの会社で、最高に格好いいフィナーレを描こうとする彼の歩みに迫ります。

――今回は、このコーナーの中ではベテラン層に入る、人生の大先輩へのインタビューになります!こちらの会社には10年ほど前にご入社されたのですよね。
大塚:恐縮です(笑)。そうですね、入社して10年ですが総務の仕事はここが初めてです。
――筆者も銀行出身ですので大塚さんのご転職の経緯に興味深々です!まずは現状の体制など伺えますか。
大塚:はい、社員数30名強で、コンサルティング部が20数名、営業部は2名、総務5名、情報システム1名となっています。専門職には60代の社員もおります。私が部長を務める総務部では、総務、人事、経理財務、営業支援、広報PR、と多岐にわたってバックオフィス業務全般を担っております。
私の入社当時は社員が20名ほどで、少しずつ社員が増えて総務にも若手メンバーが入りました。7年前の社長交代以降、組織としての枠組みを多角的に整理し様々なことに取り組んできました。
――「総務部」がバックオフィス業務を一手に担っているのですね。若手メンバー3名とは20~30歳ほどの年齢差があるようですが、コミュニケーションについてお感じのことはありますか。
大塚:とにかく失敗を恐れず挑戦するように言っています。
私見ですが、不確定なことには慎重になりすぎる、確実安全なものにしか手を出さないという若者が多い印象ですね。仕事でもプライベートの話でもそう感じます。そこで、少し努力すれば達成するような目標を立てるようにしています。小さくても成功体験がたくさん積みあがっていけば、自信につながります。
私自身、営業をやっていたころは、失敗どころか怒られてでも一発逆転を狙って奮闘する、といったやり方でやってきましたから、その姿勢が出ちゃうんですよね。時代が違うと言われないように気をつけてはいますが(笑)。
――なんとなくわかります(笑)。

大塚:ここ3年くらいで、オフィスリニューアル、管理職研修や人事制度、評価制度など多くのことを見直してきました。会議体の整理もそのひとつで、総務では週一回の会議を行っています。そこでは、メンバー各自が考える課題に対する改善についての提案プレゼンをするのが習慣化しています。
毎日の業務にあたっていれば大小かかわらず様々な課題に気づくことがあります。それに関して改善アイディアを考えて持ち寄ってもらうのです。それらをひとつも切り捨てることなく、すべて社長に持ち込み判断を仰ぎます。タイミングや資金的な問題など様々な理由で経営判断が下りますが、結果を必ず本人にフィードバックします。
ここで大切なのは、結果的に採用されたかどうかでなく、どれだけ提案できたか、を評価すること。
経営の判断と現場の感じることは違って当たり前です。当たって砕けろ精神でまずは提案してみること、日々の業務をどれだけ良くしていくかを考えることが大事と、常々思います。
――毎週提案とはなかなか忙しそうですね、みなさんの姿勢はいかがですか?
大塚:若手3名はこの提案制度がすでにある状態で入社したのですが、在籍の長いベテラン女性は、改善意識がもともと高く、提案数は一番多いです。右も左もわからない私をいろいろ支えてくれた社員なんです。
日々こなす業務とは別にやってもらうので大変だとは思いますがみんな張り切って取り組んでいます。福利厚生やDX化関連など、担当する分野の効率化を目指す提案はこれまでいくつか採用されました。部下の提案が採用されたときの顔を見ると本当に嬉しいですね。
営業上がりなので、どちらかといえば自分がスポットライトを浴びたいタイプだったのですが総務をやってきて変わったように思います。
――長年営業やってこられたのですものね。どんなきっかけで総務職での転職を?
大塚:実は前任者である叔父からの声かけで入社したのです。新卒で銀行員となり、融資や渉外で17年ほどを過ごしました。一通り経験して管理職にもなったのですが、だんだんと仕事のしかたに疑問が湧いてくるようになったんですよね。当時の銀行といえば、預金集めと融資の金額で評価をされる。
結局数字ばかりを求められて、本当に困っている方々には貸さずに、借りてくれる企業にへこへこと頭を下げて。「こんなやり方でいいのか」と上司に進言したりして、嫌な部下と思われていたと思います。
当時40歳くらいで妻も子供もいたのに次も決めずに退職して、よく離婚しないでいてくれたと思いますね(笑)。

その後は銀行時代から付き合いのあった住宅関連の大手企業にお世話になりました。歩合制で業績がよければ給料は青天井、パワハラなんかも平気で横行していました。家族のことも顧みずに仕事に励んで、徐々に数字をあげられなくなっていき、後半はもう精神的に参っていたんですよね。入社して10年、休みもろくにとれず、私自身も家族も不健康な状態になっていました。
そんな中、急に叔父から連絡が来まして「今の仕事の後継者を探している、興味はないか?」と。身も心もボロボロだった私を見るに見かねて、実家の母が叔父に話をしたのではないかと思っています。もう確認はできませんが……。
――よほどだったのでしょうね。全く畑違いの仕事かと思いますが、その話を受けたのですね。
大塚:そうですね、業界のことはわからないし、総務のことをある程度理解していないと難しいのでは、という不安はありましたが、藁をもすがる気持ちで叔父の手を握り返していました。まもなく50歳になるころです。
総務の仕事といえば受動的で淡々とこなすだけ、間違えばマイナス評価。プラス評価などもらえる機会もない、そういうつまらない仕事だろうなと思っていましたし、営業が長かったのでとにかくずっと座っていることがはじめはすごく苦痛だったのを覚えています。
――それがいつごろから“面白い”と思うようになったのでしょうか?
大塚:銀行出身ということもあり経理や財務の分野は得意だと思っていたのですが、意外と新しいことや知らないことが出てきて「これは勉強しなおさなければ」と思うようなことがたくさんありました。
わからないながらも自分なりのやり方を考えたり勉強したりしていたら、だんだん楽しくなっていったのです。会社の規模が小さいこともあって、書式ややり方が決まってないものに対して楽しみながら改善していきました。
この10年で、テレワーク推進、オフィスリノベーション、会計や人事労務関連のシステム見直し、就業規則の刷新、ハラスメント対応に株の譲渡等、本当に幅広い実務をやり遂げてきました。
――営業色ゼロですね!すごい幅の広さです。
大塚:総務の仕事は、決して受動的ではないと気づけたのは新鮮でしたね。その会社のことや事業のことを、浅くはありますが広く理解していて、やる人の姿勢次第でどこまでも提案できる職種だなと。
間違えてはいけないし、失敗が許されないこともあります。でも日々の自分の業務の中で改善点、効率化など考えてみると意外と発見がある。これまでやってきたからこれでいい、ではなく視点を変えて取り組んでみるとすごく面白い職種ですよね。
――その想いが、毎週の改善提案の習慣化につながるのですね。
大塚:「総務の仕事は淡々と間違いなくやるだけ、やりがいや成果が見えない」そんな空気を変えたかったんです。
だからこそ、メンバーには失敗を怖がらずに挑戦してほしい。常に守らなければならない規制はあるが、許される範囲内では好きなだけやりたいように走りまわってほしい、と思っているんです。何かあれば私が責任を取るからと。

――今後についてお聞かせください。
大塚:Well-beingを意識した福利厚生面や制度面はまだまだ足りていない部分があるので、強化していくつもりです。また、近い将来上場を目指す構想が社長の中にはありますので、必要な準備を着実に進めていき社長の支えとなれるよう努めます。
そして、上場を成し遂げた暁には、私は会社を若い後輩に任せ、静かに会社を去りたいと考えています。これが私の目下の夢ですね。
――かっこいいシナリオですね!実現してほしいです!

*取材後記*
人生で一度どん底を味わった大塚さんが、居場所を見つけそしてネガティブな総務のイメージを自ら塗りかえた――そんなストーリーがきっと部下の方々にも伝わって、誇りを持ってお仕事されている様子を想像しました。
最後に、大塚さんが大好きという曲の歌詩を一部ご紹介します。
「ぼくらは自由を ぼくらは青春を 気持ちのよい汗を 決して枯れない涙を 幅広い心を くだらないアイデアを かるく笑えるユーモアを 上手くやりぬく賢さを 眠らない身体を 全てほしがる欲望を おおげさに言うのならばきっとそういう事なんだろう 誇らしげに言うならばきっとそういう感じだろう」
『イージュー★ライダー』 作詞/作曲:奥田民生 2005年
軽やかさとユーモアを持って終始お話しくださった大塚さんにぴったりな曲。キャリアプランを明確にイメージして真摯に仕事に向かわれる姿勢が、50歳を目前にした筆者にもとても身に染みるものがありました。ぜひ夢を実現してほしいです!
| プロフィール | 大塚 馨(おおつか・かおる)
株式会社地圏環境テクノロジー/総務部長 大学卒業後、地方銀行に入行し融資課にて17年を過ごす。顧客に寄り添わない姿勢や結果だけを求められるやり方に疑問を持ち、退職を決意。40歳手前で大手住宅系企業に転職し営業職として従事。10年後には心身ともに疲弊していき、家族にも心配をかけていた中、後任を探す叔父に入社を勧められる。総務部長の叔父のもとで初めて総務職を経験し、7年後現職に。現在までの10年間で、テレワーク推進、オフィスリノベーション、会計や人事労務関連のシステム見直し、就業規則の刷新、ハラスメント対応に株の譲渡等、バックオフィスの要として幅広い実務を推進している。 |
|---|---|
| 会社情報 | 株式会社地圏環境テクノロジー
本社所在地:東京都千代田区神田淡路町二丁目1番地 設立年月日:2000年9月25日 従業員数:32名(経営2名含む) HP:https://www.getc.co.jp 事業内容:自然環境における水循環現象のソリューション&コンサルティング コンテンツ販売 |
セッキ―
ライタープロフィール
2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。いつかはインタビューされる側になりたい!
セッキ―
ライタープロフィール
2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。いつかはインタビューされる側になりたい!
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