ライター:一色先生
2025.08.29
こんにちは、一色です。
オフィスは単なる「働く場所」ではなく、組織のパフォーマンスを高めるための戦略的な投資対象です。特に人的資本経営の観点からは、社員の創造性・自律性を育む“場”としての価値が再評価されています。
今回は、2020年以降の日経ニューオフィス賞推進賞受賞オフィスから、人財育成にフォーカスした設計と運営の実践例をご紹介します。

1. ネットワンシステムズ「イノベーションセンター netone valley」
(第37回/2024年・クリエイティブ・オフィス賞)
•倉庫を再生した大規模空間(5〜7F+屋上)で、研修・実証実験・ワークショップを多目的開催。
•「個性」「自律性」「新文化」を醸成する設計思想を徹底。
•INFORMATION HUBを核に、探究力と自律学習を促す仕組みを構築。
•高度専門人材の育成拠点として、社員の意識変革や社外コラボレーションの加速にも成果。
▼画像引用元:NOPA公式ホームページ

2. 兼松株式会社 東京本社オフィス
(第36回/2023年・経済産業大臣賞)
•若手社員主体の設計プロジェクトが、実務研修の機会として機能。
•「わざわざ出社したくなる」ことを目的に、ABW導入で自律性を高める行動デザインを実現。
•集中・協働・創造を最適化するゾーニングで、学びと生産性を両立。
▼画像引用元:NOPA公式ホームページ

3. TRI AD 日本橋オフィス(トヨタグループ)
(第33回/2020年・クリエイティブ・オフィス賞)
•コンセプト「AI PALETTE」:先進技術と多様性を共存させる文化づくり。
•巨大スクリーン、3Dサウンドホール、リチャージルームなど、刺激と休息のバランス設計。
•文化醸成を通じて学びを促進する“人中心のオフィス”。
▼画像引用元:NOPA公式ホームページ

4. 日建設計CM 大阪オフィス「O³(おせっかいオフィス)」
(第37回/2024年・近畿ブロック推進賞)
•「人と人をつなげるのは人」という原点に基づく実験的ワークプレイス。
•コミュニティマネージャーやコンシェルジュを配置し、交流・創造を支える運営基盤を整備。
•アート要素の導入により、感性を刺激する文化づくりを推進。
▼画像引用元:NOPA公式ホームページ


人財育成オフィスに共通する戦略要素
1.学習機会の空間化:研修・ワークショップの専用スペースや定期イベントの設置。
2.プロジェクト参画を人材育成に活用:若手社員が企画・設計に関与し、実務経験を習得。
3.ABW×ICTによる行動設計:業務に合わせた柔軟な働き方が自律性を促進。
4.ソフト面の強化:コミュニティ運営・文化演出・アート導入による学びの深化。
今年の日経ニューオフィス賞受賞オフィスも先日発表されましたが、人的資本経営に資する「人を育てるオフィス」が増えています。
オフィス設計は単なる空間づくりではなく、企業が目指す人材像を実現するための戦略的なプラットフォームです。オフィスをどう設計するかは、企業がどんな未来を描くかに直結しています。
企業のありたい姿とともに、社員一人ひとりの「ありたい姿」も見つめ直す機会になるはずです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
| 参考情報 | ◆参考リンク 2024年度 第37回日経ニューオフィス賞 2023年度 第36回日経ニューオフィス賞 2020年度 第33回日経ニューオフィス賞 ◆参考書籍 •THE BEST OF NEW OFFICE 2020(一般社団法人ニューオフィス推進協会) •THE BEST OF NEW OFFICE 2023(同上) •THE BEST OF NEW OFFICE 2024(同上) |
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一色先生
ライタープロフィール
コクヨに42年間オフィスデザイナーとして勤務。オフィスデザインだけでなくオフィス研究やオフィス運営維持活動も担当。オフィスやカイゼンに関する講演は全国で50回以上実施している。2019年にはデザインスタジオを開業。オフィスのコンセプトづくりやコンペ提案のアドバイスを対応。
水彩画家として個展やカルチャースクールの絵画講師、公募展への応募なども行っている。2020年には初出品した水彩画が日展入選。はやくスケッチ旅行を再開したい。
一色先生
ライタープロフィール
コクヨに42年間オフィスデザイナーとして勤務。オフィスデザインだけでなくオフィス研究やオフィス運営維持活動も担当。オフィスやカイゼンに関する講演は全国で50回以上実施している。2019年にはデザインスタジオを開業。オフィスのコンセプトづくりやコンペ提案のアドバイスを対応。 水彩画家として個展やカルチャースクールの絵画講師、公募展への応募なども行っている。2020年には初出品した水彩画が日展入選。はやくスケッチ旅行を再開したい。
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