ライター:一色先生
2024.07.31
一色です、こんにちは。
筆者は水彩画家としても活動していると前々回にお伝えしました。
今回は個人的な出来事ですが、絵を描くことが習慣になったきっかけ、継続することでつながった縁など、”継続”の大切さを感じたエピソードを紹介します。
筆者は幼少期から絵を描くことが好きで、ものごころがついたころから、地面に絵を描いていました。 (昭和30年代は道路は舗装されていましたが、あまり車も通っていなく、蝋石という石筆を使って舗装された地面に描いていました)
●きっかけはカメラの盗難事件
筆者は、絵を描くことは小さいころから好きでしたが、常にスケッチするようなことはしていませんでした。
1980年に新婚旅行でパリに行った時も、コンパクトフィルムカメラで旅の記録写真を撮る程度でした(大阪芸大時代の親友のカメラマンが当時パリで仕事をしていたので、初めての海外旅行でパリに行きました)。
コンパクトフィルムカメラは「オリンパスXA」でちょうどウエストポーチに入る大きさで、どこかに行くときは常に携帯していて手軽に撮影していました。
◇コンパクトフィルムカメラ「オリンパスXA」
1984年のある時、このポケットカメラが盗難にあい、なくなってしまいました。当時はすごくショックだったのですが、ウエストポーチだけが残ったので、しかたなくポケットカメラの替わりに、大きさのちょうどいい「はがきサイズ」のスケッチブックを入れることにしました。今まではどこかに行けばポケットカメラで風景写真を撮影していましたが、今度はその場の風景を簡単スケッチすることが習慣になりました。
ハガキスケッチはことあるごとに描きためていました。
◇ウェストポーチ
●1988年大阪から東京へ転勤
バブルのころ東京に転勤になりましたが、「24時間戦えますか」の時代で、毎日終電まで仕事。朝は定時に出社を続けていました。
ハガキスケッチは続けていましたが、2007年ごろに、ハガキサイズではないA4サイズほどの絵画作品を残したいという気持ちが高まってきました。ちょうど妻が習っていた色鉛筆画カルチャー教室の先生が、月に2回土曜日に色鉛筆スケッチ教室を開設するとの話を聞いて、通うことにしました。
月2回の授業で、色鉛筆で描いた風景画を1枚の作品として完成させる講座でした。
◇色鉛筆スケッチ教室作品の例
1年半ほど受講したころ、色鉛筆教室の先生に描きためたハガキスケッチを見てもらいました。その時に先生から、「この作品があるなら、ペン水彩画教室を開設できる」ということで、カルチャー教室に推薦してくれました。おかげで2009年4月からペン水彩画スケッチ教室の講座を持てるようになりました。
(ちょうど、仕事の面でもプレゼンする機会が増えていましたが、人前で話すことに苦手意識があったので、生徒さんの前で話すいい練習になると思い講師を引き受けました)
ペン水彩画スケッチ教室の講座を月2回続けていくためにも、お手本となるスケッチを描きためておく必要性があったので、それまで以上にスケッチブックを持ち歩いてせっせと風景スケッチを描きにいくきっかけにもなりました。
絵画講師を続けていくうえで、風景画の個展を開催している画廊も、よく観るようにしていました。
2014年ごろに京橋の画廊で風景画個展を覗いたときに、開催している作家の方に「絵を描いているのか」と声をかけられ、持ち歩いているスケッチブックを観てもらいました。それがきっかけで、太平洋美術会という日本で最古の洋画美術団体に参加することになり、初めて大きな作品を描いて公募展に応募しました。
初参加した公募展で「佳作入賞」(2016年)。数か月後に参加した神奈川支部展で「神奈川県知事賞」を受賞しました。
◇最初の公募展応募作品「故郷の海」
◇2回目に参加した作品「江の島の海」
次の年の2017年の公募展で「太平洋美術会賞」を受賞
◇太平洋美術会賞受賞「夏の思い出・清流」
2018年「美術会秀作賞」受賞しました。
◇美術会秀作賞受賞「守る人鎌倉(寿福寺)」
美術団体の先輩からは日展にも応募してみたら、とのアドバイスをもらい2020年に応募して、初入選しました。
◇日展初入選「100年先も・小豆島」
翌年2021年も応募して入選。
◇日展入選「あの夏の奥入瀬」
最初の公募展参加作品が故郷である兵庫県相生市の海を描いていたので、このころから相生市の風景を絵に描くということを増やしていきました。
故郷相生の絵は、帰省するたびに母親にお土産としてA4サイズのカラーコピーを額装して数部を持ち帰るようにしていました。母は私のお土産の絵を、ご近所さんにおすそ分けのように進呈していたようです。それを市会議員の方が目にし、なんと市長に私の描いた相生の風景画作品を見てもらう機会を得ることになりました。2022年11月のできごとです。
◇相生の風景画作品
そして相生市長に面会したところ、相生市文化会館で個展を開催することを提案され、受けることになりました。
今月、無事に開催してきた会場の風景です。
地元の地方新聞でも紹介され、6日間で約1,000名の方に来訪していただき、大盛況でした。
*実施時期:2024年7月10日~15日
*主催・会場:相生市文化会館(なぎさホール)
*タイトル「一色俊秀水彩画展~兵庫・相生スケッチ散歩」
「継続」を辞書で調べてみると、「前から行われていたことが引き続き行われること。前の状態・活動を受け継いで続けること」とあります。
絵を描くことが好きで、常に描くことを続けてきた結果、偶然が重なってきたように感じています。
美術の「美」という字は羊が大きいと書きますが、羊が大きいと食べることに苦労しない。心が豊かになるという意味が込められていると聞きます。観る人の心が豊かになれるように、絵を描いてきました。絵を描くことの継続が、いろいろな節目をつくって人生を豊かにしてくれていると感じています。
継続の大切さはオフィスカイゼン活動でも感じています。これについてはまた別の機会で紹介したいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
ライタープロフィール
コクヨに42年間オフィスデザイナーとして勤務。オフィスデザインだけでなくオフィス研究やオフィス運営維持活動も担当。オフィスやカイゼンに関する講演は全国で50回以上実施している。2019年にはデザインスタジオを開業。オフィスのコンセプトづくりやコンペ提案のアドバイスを対応。
水彩画家として個展やカルチャースクールの絵画講師、公募展への応募なども行っている。2020年には初出品した水彩画が日展入選。はやくスケッチ旅行を再開したい。
ライタープロフィール
コクヨに42年間オフィスデザイナーとして勤務。オフィスデザインだけでなくオフィス研究やオフィス運営維持活動も担当。オフィスやカイゼンに関する講演は全国で50回以上実施している。2019年にはデザインスタジオを開業。オフィスのコンセプトづくりやコンペ提案のアドバイスを対応。 水彩画家として個展やカルチャースクールの絵画講師、公募展への応募なども行っている。2020年には初出品した水彩画が日展入選。はやくスケッチ旅行を再開したい。
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