ライター:セッキ―
2026.08.17
「社内カルチャーを変えたいけれど、何から手をつければいい?」
「女性社員の活躍や健康経営って具体的にどう進めるの?」
そんな悩みを抱える総務担当者も多いのではないでしょうか。
今回は、旧態依然とした体質から脱却し、見事に「健康経営優良法人」の認定を獲得した株式会社ミモトを取材しました!
きっかけは、事務職の女性たちが結成したプロジェクト。彼女たちがどのように社内を変え、100年企業へと向かう推進力となったのか、その変革ストーリーをご紹介します。

1. 伝統的な製造業が挑む「売上100億円」と組織改革
石川県白山市に本社を構える株式会社ミモト。1947年の設立以来、産業用ディーゼルエンジン部品の精密加工(銑鉄鋳物)を主軸に、ヤンマー株式会社をはじめとする大手メーカーの一次サプライヤーとして極めて高い技術力と信頼を積み重ねてきました。
現在の同社は、単なる部品加工にとどまらない「製造 × 商社」という独自のスタイルを掲げ、2047年の創立100周年に「売上高100億円」を達成するという高い目標に向かって突き進んでいます(2025年度売上高:26.2億円)。

この力強い成長を率いる代表取締役社長の池田賢治氏が、経営の核心に置いているのが「製造業の地位向上」と「関わるすべての人への敬意」です。
日本の製造業には、長年「3K(きつい・汚い・危険)」や「下請け」といったネガティブなイメージがつきまとっていました。しかし、異業種である外食産業の経験を持ち、感謝がダイレクトに循環する世界を知る池田さんは、「製造業だって、もっとスマートで、もっと称賛されるべき職業だ」と確信していました。
外食業界で培った「従業員満足(ES)が顧客満足(CS)を生む」という「おもてなし論理」を社内に展開。社員が自分の仕事に誇りを持ち、長く安心して働ける環境を作ることこそが、お客様に「安心できるパートナー」としての価値を提供し、地元・石川県での雇用を守る道だと考えたのです。
その組織改革の大きなエンジンとなったのが、ある女性たちの活動でした。
2. 変革の第一歩:昭和の面影を残す現場に吹いた新しい風
「ド昭和」といっても過言ではない、旧態依然としたカルチャーが根強く残っていたミモト。性別による役割分担の意識が強く、待遇や給与水準も昔のまま。現場の工場は男性、事務仕事は女性と職種が完全に切り分けられ、互いの距離感や固定観念が壁となって立ちふさがっていました。
「このままではいけない」——。
そう危機感を抱いたのが、当時常務だった現社長の池田さん。目をつけたのは、「まず工場を綺麗にする」というシンプルな、しかし根本的な改善。
このプロジェクトを任されたのが、事務方の女性社員たちです。初めは10名ほどで「女性パトロール」という名称でスタート。『すべてのお客様から綺麗と言ってもらえる工場』をテーマに掲げ、月1回のペースでお客様目線の工場内パトロールを開始しました。
「男性の職場」とされていた工場に、女性視点での細やかな改善の風が吹き始めた瞬間でした。
3. 転機と進化:主体的な関わりから生まれた「ミモトぐりーんず」
2021年冬には女子トイレの全面改修という大きなプロジェクトを迎えます。会社はこの重要なプロジェクトの設計や決定を、担当の三浦さんをはじめとする女性事務職員に一任したのでした。
この成功体験を経ながら、スタートから3年間地道に続いた「女性パトロール」は、2023年には活動の規模とテーマを一気に拡大。活動名も、ミモトのコーポレートカラーである「緑」を採り入れた親しみやすい「ミモトぐりーんず」へと改名されました。
三浦さん(ミモトぐりーんず/リーダー)
「はじめはパトロールというかたちで、社員から疎まれながらの活動でしたが、3年間地道に継続して徐々に“一緒にきれいにしていく”、“成長していく”という姿勢に変わっていきました。
トイレの改修プロジェクトでは、このような規模の仕事を一から任されたことが初めてで大きな挑戦でした。自分たちのアイデアが形になり、会社がどんどん快適になっていくプロセスを楽しんでやり遂げることができ、自身の仕事への向き合い方が変わったように思います」

活動テーマも『お客様も社員も「気持ちが良い」と感じられる環境づくり』へと進化。工場内だけでなく、休憩室をはじめとする共有スペースの環境整備に取り組み、全社員が快適に過ごせる空間を作り上げていきました。
さらに、クリスマスツリーの設置や、バレンタインに「チョコっとお菓子」を配るなど、季節の行事を通じた温かい社内コミュニケーションのきっかけ作りにも力を入れるようになっていきます。

代表取締役社長/池田氏
「現場の女性からの発案で、社員に誕生日ギフトを渡すという企画も決定しているんです。ギフトは能登の震災で大きな被害に遭った珠洲市の老舗菓子店のオリジナルバウムクーヘン。私から直接手渡しすることで、普段接点の少ない社員とのコミュニケーションを増やす狙いと、珠洲市を応援したい気持ちから、現場からそういったアイディアが挙がったことを大変嬉しく思います」
4. 活動の広がり:地域支援・ES向上から「健康経営優良法人」獲得まで
「ミモトぐりーんず」の活動は、単なる美化活動にとどまらず、「地域貢献」や「健康経営」へとその領域を大きく広げていきました。

■ 社員の「心と体」を守る健康経営
•受動喫煙の防止: 屋内喫煙所を完全に撤去し、禁煙外来への通院サポートを実施。その結果、社内の喫煙率が大幅ダウンするという明確な実績を上げました。
•「食」を通じた健康サポート: カゴメの「ベジチェック」を導入して野菜摂取量を可視化したほか、置き型惣菜「OFFICE DE YASAI」を設置して手軽に野菜が摂れる環境を整備。さらに、疲労回復や高タンパクなど6つのテーマで手軽に作れる「ぐりーんずレシピ」を発行・共有しています。
•メンタルヘルスの強化: 専門家による健康づくり講座(座学)の開催や、社内相談窓口の設置など、心のケアにも万全の体制を整えました。
■社員の声
社員アンケートによれば、
「以前より食べるものを気にするようになった」「運動することへの意識が上がった」との声が。確実に健康への意識がUPしていることがわかります。

15年ぶりに制服をモデルチェンジしたのもミモトぐりーんずの功績!!かっこいいですよね。
こうした多角的な取り組みが結実し、同社は2025年に「健康経営優良法人」の認定を取得。かつての職場環境は、社員の健康と働きがいを第一に考える先進的な職場へと生まれ変わったのです。

5. 80周年へ向けてさらなる一歩
当初は工場美化運動というかたちで始まった活動は、今では総勢17名と成長し、「健康経営」「福利厚生」「表彰制度」など、専門テーマごとに4つのチームに分かれて主体的に活動を続けています。
そして来年の「創立80周年」に向けて、全社を巻き込む様々なイベントや企画が動き出しているとのこと。「ミモトぐりーんず」をはじめとする社員一人ひとりの躍動を、今後は社外へも積極的に発信していく方針です。
「製造業の地位向上」を掲げ、社員を大切にし、地域に根差し、時代に合わせて自らを変革し続ける株式会社ミモト。女性たちの小さなパトロールから始まった変革の芽は、今や会社全体を包む大きな大木となり、「100周年・売上100億円」という壮大な未来に向かって、まっすぐに伸び続けています。

| Information | 株式会社ミモト https://www.mimoto.co.jp/
所在地:石川県白山市旭丘1丁目13番地 業 種: 製造 × 商社 設立年:1947年 従業員:110名 |
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セッキ―
ライタープロフィール
2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。いつかはインタビューされる側になりたい!
セッキ―
ライタープロフィール
2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。いつかはインタビューされる側になりたい!
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