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気になるこの人!
オフィスに関わるあんな人こんな人、ご紹介します!

ライター:セッキ―

2015.11.02

平山信彦:内田洋行 知的生産性研究所所長
「働き方変革は、誰のため?」

今、貴方の働き方は幸せですか?

企業にとってオフィス移転のタイミングは、働き方の変革を試みるチャンスです。働き方の変革には意識、行動の変革が必要で、これまでの習慣を変えていくのは時間も苦労も要するもの。しかし、その苦労は必ず一人ひとりの幸せにつながる、と平山さんは言います。

スペースデザイナーとして入社した平山さんが、海外赴任やありとあらゆる部署を経験し、辿り着いた“Change Working”の分野。300個以上の取り組みを自社内で地道に試行し、実証された理論に裏打ちされたコンサルティングメソッドには、強い説得力があります。貴方の、貴社の、「働き方変革」に対する強い思いに寄り添い、変革を導いてくれることでしょう。

―ご入社された時から知的生産性研究所へ配属されたのですか?

いいえ。もともと大学でインダストリアルデザインを専攻し、内田洋行にはスペースデザイナーとして81年に入社しました。知的生産性研究所の所長としては、私は8代目なんです。

入社して5年が経った頃、今思えば顔から火が出るほど恥ずかしい“勘違い”なんですが、どういうわけか、「もう日本で学ぶことはない、海外で勉強したい。」と思ってしまったんですね。当時の上司に直談判しまして、それじゃあその鼻をへし折ってこい、と言ってくれましてアメリカ/ロサンゼルスへの出向が決まったんです。

トレーニーとして赴任しましたが、いきなりプロジェクトに参画させてもらいました。たまたま現地で仕えた上司が、デザイナーでなくプロジェクトマネジャー、平たく言うと営業だったんです。西海岸ならではの派手な営業、お客様自宅に招きパーティを開いて仲良くなり、週末はサーモンフィッシング、家族ぐるみでBBQ。最後は早朝にパワーブレックファーストでプレゼンをしてクロージング、という・・・

―それは確かに派手ですね。日本ではなかなか経験できないことですよね。

デザイナーとして赴任したはずなのにデザインより面白くなってしまったんです(笑)。すっかりプロジェクトプロデュースにハマってしまい、渡米した時よりも帰国してきてからのカルチャーショックのほうが大きかったほどです。アメリカでのやり方に慣れてしまったこともあり、なんとなくやりづらさを感じていたところ、運よく外部の会社のプロジェクトに参画させてもらえるチャンスをもらいました。

京都にリサーチパークをつくるというプロジェクトで、建設計画のマスタープランを設計事務所へ渡すための、運営のしくみを考えながら様々な要件をまとめる役割。アメリカでの経験を活かしながら、当時としては無茶な提案もずいぶんしたと思います(笑)。そこでの4年間は、いろんな方との出会いがあり大変勉強させてもらえました。

―アメリカでのご経験に基づいた平山さんの提案は京都のみなさんにも刺激になりそうですね。

そうかも知れません。そのプロジェクトが終了し戻ってから、環境デザイン研究所デザインマネジメント課の課長として、デザインマネジメント研究に着手しました。デザインマネジメントとは、 ・企業内のデザインファンクションのリソースをどうマネジメントするか
・そのデザインリソースを会社の経営戦略にどう役立てるか
の二つの意味があるのですが、特に後者の「デザインを経営にどう活かしていくか」という面から、各界の多くの方々の知見をいただきながら調査や研究を行いました。そしてその結果を活かし、2年後の93年には建築プログラミングのコンサルティング(PSP:Pre Schematic Programming)サービスをスタート。

その後、事業企画、他企業とのアライアンス開発、博物館の展示企画、「学びの場.com」という教育系サイトの立ち上げなど、多くのミッションを担当させてもらいましたが、2008年に知的生産性研究所の所長となり、ワークスタイル研究を再開することになりました。

―Change Workingにつながっていくわけですね?

はい。先ほどお話ししたとおり、90年代の半ばに米国での経験やデザインマネジメントで学んだ知見を活かしワークプレイスの“プログラミング”を事業にできないかと考えました。ここでいうプログラミングとは、施主の要望を分析し要件定義をまとめる、ということですが、「プログラムする以前に、その建物でどのような働き方を目指すのかということについて考えるプロセスが必要なのではないか」という課題意識がありました。どのような働き方で、どのような成果の出し方をしていて、どのように組織の活性化を図るのか、などを検討したうえで、それらに基づいたファシリティの設計が必要であり、それを専門とするサービスが必要だと思えたのです。そのような思いを持ちながらも先ほどお話しした他のテーマにも興味や関心があり、ずいぶん時間が経ってしまいましたが、2008年に知的生産性研究所に戻り2010年にChange Working(ワークスタイル変革支援コンサルティング)をサービスインすることができました。

ここでもまずは自社内実験ということで「ワークスタイル変革自社内実証プロジェクト」を開始します。200名くらいの営業部隊で、以下2つのミッションを掲げ試行しました。
① 人の意識や行動を変えていく(←知的生産性研究所がここを担う)
② それを支えるために必要なしくみや舞台装置を作っていく

―実際に実験したとなると説得力がありますね。例えばどのような取り組みをされたのでしょうか。

例えば、営業はいかに多くの時間、お客様とお会いするかが勝負なわけですが、調査してみると面談に割く時間は24%、あとはデスクワークや作業会議などに時間を取られている訳です。面談時間アップのための行動革新に取り組みました。それには、会議時間を減らす、作業を効率化して時間短縮、営業がやらなくてよい仕事を整理して外注する。そんな策が出てきます。

提案書の作成時間にフォーカスしてみましょう。過去の提案書を雛形としてライブラリ化しいつでも閲覧できるようにすれば、時間短縮になるうえ一人で考えるよりも良いものができますよね。そうなると、今度はそれを支えるデジタルライブラリーや情報共有を進めるためのデジタルサイネージなどが必要になり舞台がどんどん改革されていくわけです。

これはほんの一例ですが、こうした取り組みを344個、しつこく実践してきました。

―現場のみなさんの反応はどうでしたか?

もちろん最初はアイスブレイクが必要でしたね。この忙しいのに、と反論が出ながらも、だんだん慣れてくると勢いがつき、世間から注目していただいたこともあり変革へのモチベーション、いわゆる「腹落ち感」が醸成されていったと思います。

それでも3年も経つと多少の「変革疲れ」が出てきます。そこでまたワークショップを実施し、「ありたき姿」と現実のギャップがまだまだあること再認識。継続することの重要性が理解され、踊り場を乗り越えることができました。

―「腹落ち感」がなければなかなか成果に結びつかないですものね。

働き方変革に関して、「腹落ち感」がない状況があるとすれば、自分たちにとってハッピーになりうるということに気づいていない、という状況なのだと思います。

仕事は、とても大変で辛いこともあるが、楽しく充実感を味わえる場面もきっとあるはず。その楽しい部分の比率を増やしていきたいと私たちは思っています。働くプロセスで自己実現、自己成長を叶えられるということが一人ひとりにとってとてもハッピーなことであり、その集積ができる企業は強いと思います。働き方変革によって得られる組織にとってのハピネス、一人ひとりにとってのハピネス、このバランスが実現できてこそ変革が成功したと言えると思います。

―誰のためでもなく自分たちの幸せにつながる、ということですね。 働き方の多様化が進む今、いろんな角度からその幸せに対する模索が深掘りできそうですね。

現在ワークスタイル変革の動きは確実に広まっていると実感します。おかげさまで多数のお客様からご相談をいただいておりますが、私たちは、「この方法をお勧めします」と処方箋を出すスタイルのコンサルタントではありません。答えはクライアントの中にあると、常々思っています。その答えを導き出すための方法や、考えるための枠組みを提供したりすることが私たちの仕事です。

―本日はありがとうございました。

プロフィール平山 信彦(ひらやま・のぶひこ)
株式会社内田洋行/執行役員 知的生産性研究所/所長


1981年 入社(内田洋行スペースデザイン室)
1986年 アメリカ・ロスへ(設計事務所INTERNI社)
1987年 帰国
1987年~90年 リサーチパーク開発プロジェクトへ参加
1991年 環境デザイン研究所デザインマネジメント課課長、デザインマネジメント研究に着手
1991年 デザインマネジメントの立場で知的生産性研究所のワークスタイル実証実験に参加
1993年 Callison Architecture(米国設計事務所)と建築プログラミング分野の業務提携
1993年 Pre Schematic Programming(建築プログラミングのコンサルティング)サービスイン
2001年 教育コミュニティサイト「学びの場ドットコム」ローンチ
2004年 文化施設事業部配属、博物館の展示プロデュースを担当
2008年 知的生産性研究所所長、ワークスタイル研究を再開
2008年~11年 千葉大学大学院非常勤講師(デザインインタラクティブ論)
2010年 Change Working(ワークスタイル変革支援コンサルティング)サービスイン
2011年 ワークスタイル変革自社内実証プロジェクト開始
2012年 Change Workingコンサルティングが日本HRチャレンジ大賞奨励賞受賞
セッキ―

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ライタープロフィール

整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!

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